救済基金構想骨子

建設作業従事者にかかる石綿被害者補償基金制度(骨子)

2012年12月10日版

 

1 補償基金制度の目的

本基金は、一定期間建設作業に従事した経歴を有する者のうち、石綿関連疾患に罹患した者ないしその相続人に対し、訴訟手続きを経ずして、その損害の完全な補償を実現することを目的とする。

 

2 適用対象

本基金制度の適用対象者は以下の各要件をいずれも充たす者とする。

(1) 1年以上建設作業従事歴がある者

(2) 石綿関連疾患に罹患し、労災認定*[i]ないし石綿救済法認定*[ii]を受けた者

 

3 給付水準

(1) 給付の性格

本基金に基づく補償金は、労災保険給付及び石綿健康被害救済法に基づく給付とは別途の給付とする。

(2) 給付水準

原則として、建設アスベスト訴訟の判決認定基準に従う。

参考…首都圏建設アスベスト東京地方裁判所判決(平成24年12月5日)*[iii]

 

4 基金の負担と財源等

(1) 拠出金の徴収・基金の管理・補償金の給付を行う機関

独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」という)が、基金を設け、拠出金の徴収及び補償金の給付等を行う。

(2) 基金の負担者

基金の負担者は、国、建設業者*[iv](特定建設業許可業者に限る)、石綿建材製造業者*[v]及び石綿輸入業者*とする。

(3) 拠出金額

拠出金額は、機構が、厚生労働大臣の認可を受けて、決定する。*[vi]

 

5 基金対象者の申請可能期間

労災保険給付決定もしくは石綿救済法による認定日から20年以内。

 

6 その他検討課題

過去に建設作業に従事し、健康診断で一定の所見(両肺野の石綿による不整形陰影所見又は石綿による胸膜肥厚斑所見)が認められる者で、「石綿に係る健康管理手帳」を受給する資格のない者(主に個人事業主、一人親方)に対する健康管理(具体的には定期健康診断)費用の基金負担。


 

*[i] 労災では、「現在石綿曝露作業に従事している労働者、又は過去に石綿曝露作業に従事していた労働者」を対象に、以下の5疾病を補償対象疾病としている。

① 中皮腫(原則として石綿曝露作業経験1年以上が条件)

② 石綿肺(じん肺管理区分決定〔管理区分4或いは2ないし3で法定合併症がある患者〕を得ている者)

③ 肺がん(原則として石綿曝露作業経験10年以上が条件)

④ びまん性胸膜肥厚(原則として石綿曝露作業経験3年以上が条件)

⑤ 良性石綿胸水

*[ii] 石綿による健康被害の救済に関する法律(2006年3月施行)は、「日本国内において石綿を吸入することにより指定疾病にかかった旨の認定を受けた者」を対象に、以下の4疾病罹患者ないしその遺族を補償対象とする。

① 中皮腫

② 肺ガン(原発性肺がん)

③ 著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺

④ 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚

*[iii] 首都圏建設アスベスト東京地方裁判所判決(平成24年12月5日)の慰謝料基準額は以下のとおり。

疾病状態                    金額

石綿関連疾患による死亡 2500万円
管理区分4・肺ガン・中皮腫・びまん性胸膜肥厚 2200万円
管理区分3合併症あり 1800万円
管理区分2合併症あり 1300万円

 

*[iv] 「建設業者」とは、1972(昭和47)年1月1日以降、建設業を営む者で特定建設業許可を受けている者(ハウスメーカーも含まれる)。但し、労災保険項目が「土木」「道路」である業者は含まない。

*[v] 「石綿建材製造業者」とは、(1972(昭和47)年1月1日から2006(平成18)年9月までに)、業として、日本国内において石綿を含有する建築材料(その種別は、原則として国交省・経産省作成「石綿(アスベスト)含有建材データベス」に従う)を製造し又は販売した者をいう。

*[vi] 労災及び石綿救済法による認定者数が予算規模を考える際のベースとなる。

※ 建設業における中皮腫・肺ガンの労災及び石綿救済法の認定者数(厚労省編「労災保険法に基づく保険給付及び石綿救済法に基づく特別遺族給付金の支給決定内訳(業種別)」及び労働基準局編「労働衛生のしおり」より)。

 

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
 中皮腫    691   258    266    272   232 291
 肺ガン    433   260    259    266   251 207
 合 計  1,124   518    525    538   483 498

※ このように建設業における中皮腫・肺ガンの認定者数は年間500人程度であり、その他疾患の認定者を250人と仮定すると、年間認定者数は750人程度。仮に、基金支給額が一人あたり平均1500万円とすると、予算規模は年間112億5000万円となる。